最大高度は、200m程度だが、
何度もアップダウンのある海側ルート。
一番高いところで、500m、
更に海側より20㎞弱距離が長いが、
一回上れば、後はほぼ下りの山側ルート。
カイコウラからクライストチャーチに到る道はこの二つ。
もうちょっと正確に言うと、クライストチャーチから60㎞程手前のワイパラで、
この二つの道が合流分岐している。
僕らは、悩んだ。
そして、山側ルートを選択した。
素直に考えれば、海沿いだろうが、
何度上ったりすれば、結局500mくらいは上ったことになってしまうだろうし、
それにもう一つ、素敵な考えがあった。
「ヒッチハイクって良くね?( ̄ー ̄) 」
先日の、トラックの荷台に味を占めた僕ら。
何度も上り下りがあるルートで、
ヒッチハイクするなら、一回だけでは、
あまり楽にならないが、
上りが一回なら、ヒッチハイクは一度きり。
次の集落、ワイアウは、峠を下ったところだし、
もしかしたら、そこからカイコウラに買出しに来る人間もいるんじゃないか、
という皮算用もあった。
スーパーで、
食料と先日の反省を踏まえて、
多目の行動食を購入しておいた。
カイコウラの郊外に出て、
海側と山側ルートの分岐で、
山側ルートに進む。
途端、交通量がぐっと減る。
経験上、こういう道のほうが、
意外にヒッチハイクは成功しやすいのだが、
しかし、それは、"普通のヒッチハイクで"ならだ。
うちらの条件は、最悪に近い。
トラックの荷台じゃなきゃ、無理だろう。
運良くそんな車が通ってくれれば良いが…。
自分としては、
坂がきつそうならヒッチハイクだな、
くらいの考えなので、
とりあえず、道が上り始めるところまで行ってみる。
途中、橋の下でのんびりランチをしてから、
本格的に上り始めるところに着く。
ここまで来るまでに、ある程度二人共悟っていた。
この道は、車が通らない。
一時間に数台、通るか通らないか。
しかも、自分たちを追い抜いていった車に、
トラックは一台も無かった。
国道だし、それなりに交通量はあるだろう、
との目論見は全く持って外れてしまったが、
あまり失望感は無かった。
その交通量の無さが、のんびりしたツーリングをさせてくれたからだ。
「自分の足しか頼れそうに無いけど、のんびり行こう。」
僕らは、坂を上り始めた。
と、言ってももちろん早速自転車を押して、だが(笑)
押して上げているとは言え、結構辛い。
ちょっと押しては休み、ちょっと押しては休み…、
そうしながら、一つ一つの上りを越えていく。
天気と景色が良いのが、幸いだ。
それに、今までの道と違い、
2両連結した大型輸送トラックが通らないのもいい。
この日は、ワイアウ川沿いにキャンプすることにした。
ここでアクシデント…と言うより、
間抜けな失敗をしてしまった。
サンドフライ除けにネイチャーストーブ(小型焚火台)で焚火をしようとしたのだが、
いまいち火の付きが悪く、アルコールストーブ用の液体メタノールで着火しようと、
容器の蓋に少量取って、そのままたらしたら、手に持っている容器の蓋に引火。
慌てて手を振ったら、テントのフライに引火したメタノールが降りかかり、フライに着火。
テントの中にいた相方の声で、その事態に気付き、慌ててたたき消したが、
フライに大きな穴と残り火でインナーと入り口のメッシュパネルの一部を損傷した。
フライとインナーは、持ってきたリペアキットでどうにかなりそうだが、
メッシュは厄介だ。
とりあえず、虫が入ってきてしまうので、
メッシュとインナーは、応急でパワーテープ(ガムテープの強力版)で塞ぎ、
明日しっかり塞ぐことにした。
ところで、ニュージーランドでは、生水を基本飲んではいけない。
ジアルディアという寄生虫がいるからだ。
生水を飲もうとしたら、煮沸か薬剤使用をするのが一般的だが、
相方が多量に水を摂取する奴なので、
上記の方法だと変な味がしたり面倒なのがあったりするので、
MSRの浄水器を持ってきていた。
この日が初お披露目だったのだが、
今後、トランピング(ニュージーランドでは、トレッキングのことをこう呼ぶ)に行った時に、
活躍してくれるだろう。
それに、郊外に出てしまえば、日本のようにどっかに蛇口があるだろう、という環境でもないので、
沢や川はそこそこあるニュージーランドでは、持っていると安心できる道具でもある。
空気が乾いているせいか、大して暑くなくとも喉だけは渇くので、
自転車なんかの人力移動者は、飲み水の心配だけはしないようにした方がいい。
明朝、フライの穴を塞ぎ、再び上り始める。
今日、ピークに到達すれば、後はほぼ下りと平坦な道だ。
あいかわらず、交通量は少なく、トラックが来ることも無い。
もっとも今来てもここまで来たのだから、自分の力で行きたいという気持ちが強い。
乗る?って聞かれたら乗りそうだけど(笑)
ピークに到達した。
特に何の標識も無いが、
持っているGPS60CSの高度計で、
ここがピークなのが大体わかった。
後は下るだけー、と言いたいところだが、
たまにそこそこの上りもありつつ、
ワイアウに到着。
キャンプ場に到着。
日本と違って、キャンプ場が集落のど真ん中にあったりするのが、
ありがたい。
昨夕のテント破損のショックから、
室内(こっちでは、キャンプ場もベッド付きの部屋があるのが当たり前のようだ)にしようかな、
とも思ったが、天気がいいのと、綺麗な芝生だったのもあり、テントを張った。
一人$10。しかも、ここは、キッチンもあるし、調理器具もあった。
もちろん、缶切りもある。
これで、重い缶詰ともおさらばできる。
大型スーパーは無いが、歩いていける距離に、
フォースクエアという小型スーパー(品目少なく、価格は高め)はあるので、
そこそこ便利はいいところである。
フォースクエアで夕食を買出してきて、夕飯作り。
さあ、缶詰開けるぞ、と意気込むが…、
開けられない…。
こっちの主な缶切りは、ペンチのような形をしていて、
缶の端をカチッと挟み込み、横にあるハンドルをくるくる回すと、
缶の蓋が切れるのだが、壊れているのか、噛み合わせが甘い。
暫く試したが諦め、もう一つ入っている缶切りを取り出す。
しかし、これもまた曲者。
以前テレビで見たことがある、
"東大生も開け方が分からなかった缶切り"であった。
結局その番組では開け方をレクチャーしていなかったので、
開け方は知らない。
その変則フォークのような形をした缶切りを、
日本の缶切りの開け方をでない開け方ということを頭に置いてチャレンジするが、
わからない・・・_| ̄|○・・・
結局力技で、3㎜くらいずつ長い時間かけて切り開けていった。
後日、ネットで、後述の方の開け方を調べていて、
前述の方の開け方を知った。
イギリス式の缶切りで、
上部じゃなく、横から切れるらしい…。
現物が手元に無いので試せないが、
今度使う機会があったら、再チャレンジしてみよう。
後述の方は、未だ分からず。
誰か教えてけれ つД`)
翌日、ほとんど道は平坦になったが、
強い西風に苦戦しつつ、ワイパラを目指す。
ワイパラは、クライストチャーチに程近く、
国道の分岐でもある集落だから、
大きなスーパーもあるだろう。
途中、二桁国道から、一桁国道に合流すると、
途端に交通量が増加した。
また暫く、トラックにビクビクしつつ走ることになるんだろうな…。
ゆるく長い坂道を下り終えると、
ワイパラに着いた。
坂を下っている途中、
遠めに集落が見え、その瞬間嫌な予感がしたのだが、
果たしてその予感は的中してしまった。
とりあえず、バックパッカーズに行き、
��泊分のお金$30(テント一つにつき、一人$10、それ以降の人数は$5だった。
小さいテントに二人いるのが、漸く報われた)払い、
テントを張ると、食料の買出しに出かけた。
何も無い…。
ワイパラは、非常に小さい集落だった。
始め、クライストチャーチ側の国道方面にでたが、
ガソリンスタンドがあるのみ。
バックパッカーズの傍には、
小さい飲食店。
駅のある方面に行って、漸く見つけたのが、
沖縄の離島の共同売店を彷彿とさせる、郵便局兼小商店。
高いし、何も無い。
ワイパラを過信していた僕らは、
食料がほとんど無くなっていた。
そして、カイコウラで多めに換金していなかったせいで、
所持金も無くなりかけていた。
僕らは、2泊分の料金を支払ってしまったことを少し後悔していた。
体は疲れているが、明日、クライストチャーチまで行った方が良かったんじゃないか。
でも結局、パンを買ってくる程度で、
乏しい食料を工面して、2泊することにした。
蓄積された疲労が、気力を削ってしまっていた。
ここのビジターブックに、
よく参考にさせて頂いているサイトの管理人の秋葉氏の書き込みがあった。
なんか知人の書き込みを見たようで、なんだかとっても嬉しかった(笑)
食料がもっとあったら、ここの印象も違っていたのかもしれない。
ちょっとシャワーとトイレが古いのが気になったけれど、
のんびりしたいいところだった。
鉄道好きなら、もっと面白く感じるかもしれない。
さて、クライストチャーチに向けて出発する。
トラックも多く、交通量の多い道に、
あの閑散とした山道を懐かしむ。
快調に、とばせているのがせめてもの救いだ。
クライストチャーチ近郊で、
自動車専用道になってしまったが、
たまたま通りかかった警察官に教えられ、
一般道を進む。
「あっ、信号だ。」
何時以来だろう。
ブレニムにあったか、ちょっと記憶に無いが、
もしかしたら、ウェリントン以来の信号機との遭遇。
大きな街の存在を嫌でも感じさせてくれる。
『クライストチャーチ』の標識があったら前で写真を撮りたい、などと、
相方はのたまったが、僕らの行く一般道にそんなものは無く、
そのままクライストチャーチ市街地に突入していったのであった。
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